アイキャッチ画像(写真:筆者撮影)
【ざっくり言うと・・・】
■ドイツのホロコーストの歴史をアンネ・フランクの生きたルートで巡る。
■ドイツ国内は、アンネの生家と最後の逝去地を訪問することができる。
■オランダの隠れ家とポーランドの収容所にも訪問することができる。
ドイツと日本と同じく第二次世界大戦の敗北国。その影響は今も引き続き、慎重に世界との外交は行われています。ドイツは、自らの過ちを批判的に分析し、自国が何を行ってきたかをはっきりと示しています。その結果、周辺国から再び信頼を取り戻した国だといえる部分もあるかもしれません。アジア周辺国とはまた違うため、日本も日本がしてきたことを批判的にとらえ、ドイツと同じようにしていくことにはまだまだ賛否両論もあると思いますが、ドイツのホロコーストに関する展示物、ミュージアム、跡地などは、訪れてみると「恐ろしさ、悲しさ、人間の残酷さ」を肌で体感することができます。「正直な展示」が多いのです。
今回は、「アンネの日記」の著者、アンネ・フランクの生い立ち、そしてなくなるまでのルートを人生順にめぐりながら、ドイツやその周辺国が、どのように歴史を我々に見せているかを感じる旅、アンネが過ごした順にご紹介します。
【1.ドイツ・フランクフルト、アンネの生家へ】
(写真 筆者撮影)
アンネの生家はドイツ・フランクフルトのドルンブッシュ駅というところにあります。フランクフルト国際空港からSバーンの列車に乗り、中央駅からUバーンに乗り換えます。駅には小さいころのアンネの家族の写真が飾ってあります。
その写真を正面に見た階段を上がって右へ歩いていくこと3分。アンネの生家がみえることでしょう。
【2.フランクフルトからオランダ・アムステルダム、隠れ家へ】
(写真:筆者撮影)
ドイツから逃れるように、アンネの家族はオランダ・アムステルダムの有名な隠れ家に住み続けることになります。そこで書き始めた日記が「アンネの日記」として一躍注目を浴びることになるのです。フランクフルトからアムステルダムまでは、ICEという新幹線が中央駅から出ています。アンネの隠れ家のミュージアムがあります。シーズンによっては長蛇の列です。中に入っても並んで待つ場所もありますので、必ず予約をしていくことをお勧めします。
アンネ・フランクミュージアムのサイト http://www.annefrank.org/
中には、直筆の日記や家族の思い出の品などが多数展示されています。写真撮影は不可ですが、出口でポストカードを購入することができます。
【3.有名な収容所 ポーランド、アウシュビッツビルケナウ収容所】
(画像 https://cdn.pixabay.com/photo/2014/07/06/16/49/auschwitz-385639__340.jpg)
捕らえられてしばらくして、アンネはポーランドのアウシュビッツ収容所へ姉とともに連れていかれることになります。ポーランドのワルシャワではなく、クラクフ空港がアウシュビッツからは近いです。ポーランドの郷土料理が食べられたり、雑貨なども豊富にあります。KLMオランダ航空が、アムステルダム―クラクフ間を結んでいます。
アウシュビッツへのツアーはたくさんあります。移動が少し大変なので、ツアーに申し込みたい方は、現地のインフォメーションセンターに行きましょう。しかしながらここでは、自力で行く方法を紹介します。なぜならばアンネの電車に乗せられてここまできたので、長い移動も彼女の生き方を知る旅の一つです。
クラクフの駅から二時間半ほど電車にのると、という駅に到着します。
ポーランドではアウシュビッツと伝えても通じません。「オシフィエンチム(Oświęcim)」というと、アウシュビッツであることが分かりますので、困ったときはそのように言いましょう。
多くの観光客は夏にいくと思いますが、訪問は冬に行くことをおすすめします。人が少ないことにより、展示物もゆっくりみられるだけでなく、しずから雰囲気は、より悲惨さを肌で感じることができます。
アウシュビッツに行くまでの電車の中の寒さ、しんしんと降る雪の中をたった数名が静かに歩く。多くのユダヤ人が殺された場所で一人しかいない感覚は、忘れられない出来事となるでしょう。
【4.最期の収容所、アンネのお墓もあるベルゲンベルゼン収容所】
「あとは死ぬだけ」の人たちが収容される場所がベルゲンベルゼン収容所。アンネもそこで命を落とすことになります。
展示物とお墓がメインになりますが、お墓の石碑には「1000」などと、埋められた人数が彫られており、ユダヤ人捕虜がユダヤ人の死体を埋めている写真なども展示されており、胸がしめつけられることでしょう。
ツェレという駅からバスが出ていますが、一時間に一本くらいしか出ないので、時間を確認していきましょう。
ベルゲンベルゼンミュージアムホームページ http://bergen-belsen.stiftung-ng.de/de/home.html#0
【5.まとめ】
人の人生をたどっていくたびは非常にその人に近づけると思いますが、このたびは、人間の残酷さや悲しさからは避けて通れません。アンネという人物に沿って旅をしても、旅の中では何千の人が日記を書いていたこと、自分の軌跡を残そうとしていたということも知るでしょう。人が人として豊かに生きるために、ヨーロッパではこの悲しい過去をきれいごとなく正直に展示しています。それゆえ、耐え難い展示物もあるかもしれません。しかしながら今、私たちが知っておくべきことだと思うのです。